開発ストーリー

目次

開発者紹介

こんにちは!開発者の竹内です。ちぎれるバランスウエイトSLITFIVEの開発ストーリを聞いてください。

私は異業種からの転職だったのでタイヤの組み替えをしたことがありませんでした。

タイヤ屋さんですから当然タイヤの組み替えはやりますよね。

それで、やりました。組み替え…

いやー難いっすね

開発のきっかけ

当社では以前からバランスウエイトを販売していました。

かなりの人気商品ですから当然ホイールウエイトを知っているのですが、使うのは初めてです。

それで、実際にウエイトを貼ってバランスを合わせてみると、まったく上手くできない。

ウエイトを追加したり場所を変えて貼ったり。
狙った場所に貼れなかったり、ハサミで切る場所を間違えたり、ハサミを落としたりと、うまくはいきませんでした。

自分が下手なのはわかるけど、なんかやりにくい!
そう思ってしまったわけです。

数か月後、同じ作業でハサミがなくてカッターでウエイトを切りました。

上手く切れずに宙ぶらりんになってしまい、手で引きちぎりました。

作業がおわり、待てよ・・・

これ、手で切れるでしょ

そう!これがきっかけです。

カッターで意外といけるかも

早速カッターで1か所に切れ目を入れて試してみました。

どれどれ、イケるじゃん!

つぎに一列全部に切れ目を入れて1粒ずつちぎってみました。

面白いようにちぎれる!

おいおいイケるね~

試作をしよう

それから、自分だけでは仕方ないので、仲間にもちぎってもらうように試作品を作りました。

女性の事務員さんに試してもらうと、あら簡単。

できちゃうじゃないですか!

切れ目を点線にしてみたり、一筋にしてみたり、いろいろと試してみました。

それで、色々と試した結果、

これは、どう考えても、ハサミで切るよりラクだよね。

これは製品化できるよねってなりました。

早速、仕入先の中国の工場に問い合わせようとしました。

でも、ちょっと待てよ

特許関係の知財を調べてみよう

それで、調べてみると無いのです。

私は過去に何度も知財にかかわっているので、スグになじみの弁理士さんに連絡をして調べてもらいました。

結果は、やっぱり無いのです。

では、申請しましょう!となりました。

実用新案の申請

わかってはいましたが、時間も費用もかかりました。

実用新案の登録が完了

それから約2か月して実用新案登録が完了しました。

完了してから直ぐに中国の工場に連絡して量産に向けての話をしました。

しかし、話にのってきません。

開発が終わって量産ができる状態になったらやる。

そんな感じです。

1から開発するのは・・・

わかりました、まあボチボチやりますよ。

と、こんな回答ですから期待はできませんでした。

量産に向けての試作

ということで、量産に向けての開発は中国と日本とでボチボチやることになりました。

もちろん日本は私です。

さてどうしましょう?

「青いフィルムだけを切る」

はっきり言ってこれだけです。

カッターで切れば簡単です。でも、コストがかかりすぎて意味がない。

製造ラインと同じスピードで出来るのが一番いいです。

調べてみると1台の設備から1シートが約2秒でできています。

それが何十台もあるわけです。

2秒だったらプレスでできそうな感じがすると思いました。

ラインと同速度でのプレスという最終形を描いて、プレスを使うことに決めました。

とはいえ、いきなりラインに乗せるのは厳しいし、そもそも日本にはその設備もない。

なんなら映像の一部でしか見たことがないのです。

ラインの最終は梱包です。

そこから日本に来るので、梱包の袋詰めする前にプレスの作業ができればいいわけです。

それなら日本に来てからでも、開梱して袋を開ければ再現できるので、梱包前の状態をイメージしてプレス作業を考えました。

さて、どう考えても2秒で1シートは無理です。まずは時間を捨てて1プレスで何シートできるか考えました。もちろんプレス以外は手作業ですから、実際にモノを触って動かしながらイメージすると現実味がある数字が見えてきます。

試作機のイメージができた

プレスの1サイクルを50秒として、一度に7シート

これで考えよう。
7シートを並べてガシャン!

取り出して片づけて並べてセットしてポチッ。ウイーン、ガシャン!

イメージでは、なんとかなりそうです。

さて、プレスの試験はどうしよう?

色々と物色をしているとハンドプレスというものがあって、力もかなりありそうです。

なんといっても、フィルムを切るだけですからね。

なんとかなるでしょう。

プレス機の治具が欲しい

ハンドプレスと言えど、プレス機ですから、上下に金型というか刃が付いている治具が欲しくなるわけです。

切りたいのはフィルム1枚と粘着テープの1mmです。

ですが、粘着テープはフカフカのスポンジ状なので、押しこむと沈んでしまいます。

カッターのように刃を横にスライドできれば簡単に切れそうですが、プレスとなると縦の押し切りだけです。

治具屋さんを探す

色々調べて、愛知県にある治具屋さんに相談をすると協力していただけることになりました。

試験用のハンドプレス機もあるし、治具の試作品も作ってくれるというではないですか!

マジで嬉しいです!

そして、まずはハンドプレスサイズに合わせて、5シート分として小さく作っていただきました。

それで、結果はイキナリ90点!

イケますね~

本番のプレス機用の治具を作成

今度は実機のプレス機を想定して、7シート分で治具を作成します。

お目当てのプレス機を探して、メーカーに問い合わせをしました。

そしたら試し打ちをさせてくれることになりました。非常に助かります!

そしてプレスメーカーへ行って試し打ちをしました。

結果は80点!

プレスのチカラの調整と、プレス面に均一に力がかかるように治具を工夫する。という課題ができました。でも想定内なのでOKです。

先が見えてきました。

中国の進捗状況は?

場面はかわって中国です。

ある日、突然サンプルが送られてきました。

進めていてくれたのですね。嬉しいです。

で、結果は、う~ん50点

意見と要望を伝えて次のサンプルを待ちます。

すると忘れたころにサンプルが届きます。

で、結果は60点

そんなことを5回ほど繰り返し

ついに80点の合格ライン

では、量産の試作を始めますとの事!

嬉しですね。

壁にぶち当たる

場面は変わって、日本です。

ここにきて壁にぶち当たりました。

そもそもシートの長さがロットによって違うことが判明しました。

同じロットを使って試作をしていたので気が付きませんでした。今更ですが、大失敗です。

サイズが決まらないと型が決められない。

中国に問い合わせると、シートの長さには規格はなくて設備ごとに誤差があるそうです。

とても許容できる誤差ではないのです。

これには参りました。

設備は日本には無いので、こちらでは調整できません。もう、どうしようもないです。

もう日本では無理です。

こちらの開発は一旦ストップして中国の進捗を見守ることにしました。

中国に託しました

それで中国です。

その後、量産のサンプルが何度か送られてきましたがイマイチです。

量産の設備になるとやはり難しい。

サンプル、改善、サンプル、改善、サンプル、改善と…

そして、ついにギリギリですが合格点!

本当にありがとうございます。

嬉しいです。

すると、中国でコロナが・・・ロックダウン・・・

なかなか進みません。というか連絡も取れません。

在庫もありません…

発注します

いろいろ待ってられないので、最低単位で発注しました。

切れなかったとしても、従来のようにハサミで切れるので、大きなリスクはありません。

精度を上げていくのは生産・販売しながら同時進行で進めることにしました。

テスト販売

早速、従来品を使っていただいているお客様に使っていただきました。

評価は良いです。

切れるだけじゃなぁ~と言っていた方も

これは便利だねって!いいじゃん!と言っていただけました。

販売開始

ここまで1年半かかりましたが、いよいよ販売開始です。

まずは、どうやったらこの商品を知ってもらえるか?

今後が楽しみです!

お礼

最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

少しでもこの商品を好きになってくれたら嬉しです。

開発にご協力してくださった。治具屋さん、プレス機屋さん、などなど、色々な方のご協力で商品化することが出来ました。

本当にありがとうございました!

世界中のタイヤ組み換えの現場で「昔はハサミで切ってたよね」って言われる。

そんなことを夢見ています。

2023年6月吉日

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